不動産のごり押しにビビって再計算してみた話|これは本当に「買い」なのか?

「この物件、今決めたほうがいいですよ!」「今月中に決めないとオーナーがそのまま住むと言ってます…」

そんな営業トークを不動産会社から何度も聞かされているうちに、ふと冷静な気持ちがよみがえってきました。

……あれ?これって、本当に買っていい物件なのか?

最初は「不動産オーナーになれる!」という夢に酔いしれていたけれど、時間が経つほどに、不安と疑問がじわじわと頭をもたげてくる。

見落としていた大事な支出項目

不動産投資で物件購入するまでの話③(理想の物件の内見。そして見えてきた不安) | トシヤーンTIMES

不動産投資で物件購入するまでの話④(理想の物件の内見後、ゆっくり考えてみる。) | トシヤーンTIMES

以前試算してみたときには、自分でもそれなりに計算したつもりでした。でも、ふとした拍子に重大な見落としがあったことに気づいたのです。

  • 物件管理費用
  • 固定資産税

……そう、これ、完全に計算に入れてなかった……。(バカタレーー)

物件管理費用は、家賃の5.5%。仮に家賃が13万円だと、月7,150円もかかってくる。

さらに、不動産業者に聞いてみたら、固定資産税が年間16万円ほどかかるという。これを月で割ると約1.3万円。合わせて月2万円近い追加支出。

え、これ、けっこう変わってくるのでは……?

計算をやり直してみた

ここで、前にも使った「堤エステート/不動産投資計算ツール」を引っ張り出してきて、再度シミュレーション。

  • 自己資金ゼロで購入した場合


     → 年間マイナス297,160円の赤字

  • 自己資金500万円を投入した場合

     → それでも年間マイナス79,000円の赤字

500万円も突っ込んで、まだ赤字って……えっぐ……。

この数字を見た瞬間、頭に浮かんだのは「え?これって、ぜんぜん夢の不動産オーナーじゃないやん……」という絶望でした。

「500万出してもマイナスなのかいっ!」と、心の中でツッコミながら、ぐったり。

じゃあ、なぜ赤字でも不動産投資をする人がいるのか?

この結果を前に、「不動産投資なんて、儲からないじゃん」と一瞬思ったのですが、ふと疑問が浮かびました。

いや、赤字の人って、実は多いんじゃないの……?

そう思って少し調べてみたところ、意外な理由が見えてきたんです。


不動産投資が「赤字でもOK」な理由とは?

  1. 節税目的(損益通算)
    赤字になったぶんを給与所得などと相殺できれば、所得税や住民税が軽減される。特に高所得者層にとっては、かなり大きな節税効果になる場合も。
  2. 将来の値上がり(キャピタルゲイン)を狙っている
    いまは赤字でも、物件が将来値上がりすれば売却益で回収できるという見込み。都市部や再開発エリアでは、こういう考え方も根強い。
  3. ローン完済後の家賃収入を見込んでいる
    ローンが終わったあとは、支出がグッと減って家賃収入がほぼ丸々手元に入ってくる。その「未来の安定収入」を見越しての投資。
  4. 団体信用生命保険(団信)を生命保険代わりに
    ローンを組むときに加入する団信は、万が一のときにローン残高がゼロになるため、家族に家賃収入付きの資産を残せる。ある意味、保険代わりに使える。
  5. 資産形成の一環として
    収支は今マイナスでも、将来的に残る「不動産という資産」に価値を見出している人も多い。

なるほどなあ……。不動産投資って、ただの“副収入狙い”じゃなくて、“節税”や“保険”という多角的なメリットも見据えてやるものなんだなあと、少しだけ視野が広がりました。

でも、月2万円超の赤字を「保険代」として払えるかと聞かれたら、うーーん、それはそれで……高い。やっぱり悩む。笑

ちなみに「節税」については、調べていくうちに理解が深まりましたが、その詳細はまた別の記事でしっかりまとめようと思います(※この時点ではまだぼんやりとしかわかってませんでした)。


この物件の「ヤバさ」を整理してみた

再計算して現実を突きつけられた私は、「なにがこの物件の問題点だったのか?」「買った後のリスク」を冷静に洗い出すことにしました。

▽ リスク一覧

毎月の固定費(修繕積立金・管理費・物件管理費・固定資産税の月割り)が58,000円と高額すぎる
→ このコストが下がらないと、黒字化はほぼ無理。

駅徒歩10分といっても、郊外のローカル駅
→ 魅力的な立地とは言えず、空室リスクが高め。

売却時も買い手がつきにくそう
→ ①②のリスクが他人にも伝わるため、売りにくい。つまり、キャピタルゲインも期待しづらい。


結論:この物件、やめて正解だったかも

こうしてリスクを整理していくうちに、当初感じていた「不動産会社のごり押し感」の理由が、なんとなくわかってきました。

つまり「売れにくい物件を押し付けていた」んじゃないか……?

冷静に見れば見るほど、これは「買っちゃいけない物件」だと確信。最初は夢中になっていたけれど、やっぱり一度立ち止まって考えてよかった。


ほんの少し、成長できた気がする

今回の一件で、不動産投資には夢だけじゃなくて、現実的なシビアさも必要なんだと痛感しました。

失敗しそうになったけど、ギリギリで踏みとどまれた。これはちょっとした“成長”かもしれません。

次こそは、納得感のある物件を見つけてみせる……!

そう決意しながら、私はまた次の物件探しへと歩みを進めるのでした。